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Earth, Wind & Fire Ⅰ ~暗黒へ何の挑戦をするのか?~ [洋楽]

                   

松任谷由実がさんざん続いたあとに、いきなりアースか!?という感じがないでもないが、
Earth, Wind & Fire。
この写真は、「たまには生写真系も入れないと味気ない」と、わざわざCDジャケットを手に再び
会社の中庭の花壇に入り込み、花々の間にジャケットを立てかけて撮影した1枚である。なかなか
良いでしょう。
とにかくアース、大好きだ。中1くらいから聴いている。
忘れもしない、中2に進級して最初の日、一人一人立って自己紹介をした時に、「好きな音楽は
アース・ファインデンド・・あっ・・」と緊張のためちょっと噛んでしまって、最前列の奈須野君に
「ウィンデンドファイヤーだろ。ホントに好きなのかよ」と小声で冷たくツッコまれて、太宰治の
「人間失格」の冒頭シーン並みにとても恥ずかしかった記憶が妙に鮮明である。

私が今、毎日持ち歩いているiPODの中にアースのアルバムは7-8枚くらいは入っているだろうか。
それだけ入れていれば当然ではあるが、シャッフル演奏モードにしていると何だかやたらとよく
アースの曲がかかる。だが私の場合不思議なことに、アップテンポで景気のよいサウンドで眠たい
頭に喝(かつ)を入れたい朝の通勤時にはちっともアースが回ってこない。なのに、残業が終わっ
てヨロヨロしながら電車のシートに腰をおろし、暗い窓の外を見やりながらゆったりアコースティック
ギターの調べでも聴いて心癒えたい・・なんて時に限って、ゲッタウェイとか Can’t Let Goなんか
が、突き抜け系の大音量イントロで予告もなく鼓膜を一撃することになる。疲弊した頭には、あの
安田大サーカスのクロちゃんの声のような周波数のサウンドはかなり堪える。なのでさすがに
そんな夜はスキップしてしまうことも多いが・・・。

数あるアースの作品の中で、一番好きなアルバムはなんだろう、と考えてみるが、答えは結構
簡単に出た。『That’s the Way of the World』。私はこれが絶対に1番ですね。
このアルバム、なぜか邦題は「暗黒への挑戦」である。脈絡が全くない。
「ビートルズがやってくる!ヤア!ヤア!ヤア!」に匹敵するくらい原題から離れている。
でも、どこの誰がこの路線を敷いたのか、アースのだいたいのアルバムタイトルには邦題がつき、
どれもこれもが、長岡秀星の荘厳かつ壮大なるジャケットイラストにピッタリくる、無用なまでに
大げさでおどろおどろしいものである。(イラストは横尾忠則と思っていたが違った。ずっとそう
思い込んでいたけど)
しかも、しまいにはご苦労なことに、1曲1曲のタイトルにも邦題が多くついたりしている。
ちょっと調べてみただけでも、

  宇宙よりの使者/悪魔の血/宇宙を見よ!/カリンバの歓喜誘惑/太陽の化身/
  太陽の戦士/明日への讃歌/あなたは「愛」/石の刻印/旋風(かぜ)の使者
  
などなど・・・・。
もはや、邦題から原題を連想することは不可能だ。石の刻印 (→In the Stone) くらいか。
どうしてこういうことになったのだろう。まあ別に何でもいいけども。

このアルバムが素晴らしいのは、それ以前のまだまだ泥臭い、武骨な時代のサウンドと、それ
以降のポップでキャッチィできらびやかなサウンドの両方が混在する、何とも生き生きした魅力に
あふれた、奥行きを感じる音作りになっているからである。
1曲目の『Shining Star』などは『Fantasy』や『Get Away』などと並ぶ、あまりにも有名な彼らの
代表曲であるが、その2つなんかと比べてもShining Starは、ギターソロからホーンが入ってくる
あたりのちょっとグシャッとしたイントロから始まって、全体的に何かまだまだ手作りっぽい自由な
感じが覆っているのがたまらない。
また、この曲のラストから2曲めのバラードに間髪を入れず移っていくあの展開が、パブロフの犬の
ように身に沁み付いていて、あそこを聴くために、何となく2曲通しで聴いてしまう。
これ、私だけじゃないようで、そら怖ろしく発売されているアースのベスト盤、だいたいがShining
Star と That’s the way of …..(これがその「暗黒への挑戦」)の2曲をそのまま続きで入れ
込んでいる。これはもう永遠のセット販売なのですね。

でもって3曲目は『Happy Feeling』。まあ楽曲的にはまあまあではあるものの、たまに出てくる
カリンバの調べ(あれってカリンバっていう楽器ですよね?)が良い。というか私には単純に
カリンバ=アフリカン・フィーリング という発想で、あの音を聴くだけで野性の血がたぎる感じ。
そして5曲目に『Yearnin’ Learnin’』 。超名曲ですよ、これは。
もしかしたら、アースの中で私はこれが一番好きな曲かもしれない。よく出来た曲だと思う。
何度聴いても飽きない。一方、この次にくる『Reasons』は、なんかさすがに飽きたかな。
名曲ですけども。つい飛ばしてしまう。同じ意味合いでは、違うアルバムだけど『After the Love
is Gone』も、たいがい飛ばしてしまいますね。もーーいいぞーーーという感じはある。

で、アルバム「暗黒への挑戦」だが、後半は『Africano』なんていう、文字通りとってもアフリカーナ
な曲もあり、(ちなみに、これはライブ盤のAfricanoのほうが生々しい迫力があって血がたぎる度は
高い)最後は『See the Light』で豪華にしめくくる。この曲はかなり贅沢でドラマティックな構成に
なっており相当聴き応えがある。最後の1分に到っては本当のアフリカンだ。
というかアフリカ人の一団が老若男女で火を囲んで車座になり、楽器をガシャガシャいじりながら
談笑しているような情景の音がそのまま。ここでアルバムは終わる。うーん。素晴らしい!!!!

さっきたまたまTVを見ていたら、「ベリーベストオブ・Earth, Wind & Fire」発売!なんていう
派手なCMがやっていた。えーっこの期に及んでまだ出すのか?
CDショップに行くとわかるが、巷ではビックリするほどアースのベストが膨大に発売されている。
ラインナップはほぼ似たようなものなのに、本当に信じられないほど色々なベスト盤が出ている。
こんなにベストが出ているアーティストも居ないんじゃ?

最近の若いやつらは(←老人みたいだが)すぐ近道をしたがる。アースの超合金サウンド全盛期
の、ディスコビートガンガンな曲ばかりで固めたお手軽ベスト盤を1,2枚聴いて
「アースいいよね!超好き~!」とか言っちゃってるんだろうけど、そういうのってやっぱりなんか
納得がいかない。ちゃんとオリジナルのアルバムから聴き込んでくれないと困る。
そういう意味ではこのアルバムはアースの総合的魅力を一発で伝えるための必聴盤と言える
のではないだろうか。

あと、このアルバムが大好きなのは、ジャケットもいいから。
これはなぜかお決まりの荘厳イラストものではない。真っ白い背景の前で、メンバーが黒人らしい
チリチリアフロ頭と、これまた当時の都会の黒人らしい、引き締まった体型を際立たせるピチッと
した上下のスーツに身を固めそれぞれ好き勝手に楽しそうにピョンピョン跳ねている。
なんかフレッシュで自由で、70年代のモードが匂い立つような雰囲気がお気に入り。
表のジャケ写は、実は裏ジャケットにつながっていて、これが全景である。 ↓

    
          
この柄が延々続いているセロテープとか、トイレットペーパーとかがあったら、欲しい感じだ。


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コメント 7

urusi

毎度。
『See the Light』いいですよね。
最初の7拍子のベースラインもいいが、後ろのブラスは
何連符で吹いているんだ?
途中からボサっぽくなるけど、このメージャー7のコーラスが
とても豊潤でいいですよね。
こういう洗練された部分のアースは本当にいい。
ファンクだけじゃないもんね。
by urusi (2005-09-05 22:48) 

milk_tea

読んで下さりありがとうございます。
む?7拍子?? あれって、単なる3-3の6拍子じゃなかったのか!?
と思い、今朝の通勤電車の中で確認いたしました。
確かに指折り数えたら、6ではなく7かも・・。
(ものすごいスピードで繰り返し指を折っていたら、隣のサラリーマンの
おじさんが目を丸くして私を見ていた)

どうりで、合わせて一緒に歌うと何か合わせずらいはずです。
頭がずれてくるのです。
(あんな難しい歌を一緒に歌わんでよろしぃ~)

ということで、7拍子であることも気付かなかった私なので、ブラスが
何連符だとかわかるわけもありません。
ただウネウネしてるだけに聴こえます。
この曲 に関しては、私は後半のゆったりリズムのラインよりも
緊張感みなぎってやたらカッコイイ前半が大好きだったのですが
それもこれも、7拍子だからだったのですね~。
フィーリングonlyで聴いてる私なので、たまにこういう視点で
来られると何かドキドキしますが、学理的な見地は色々発見もあり
部屋全体の格もちょっと上がる感じでありがたいです。
え、ごく初歩的なことでしたか?
by milk_tea (2005-09-06 11:41) 

roland bynum

モーリスの弟さんのヴァーダインのベースはやはり彼らの音楽
の魅力の多くの部分を下から支えてると思います。テクニックというより
体力、パワーですよね。手もでかそうだし。彼はグループ結成前にメキシコ
オリンピックに100m競争の陸上選手として出場したそうですね。
by roland bynum (2005-11-01 18:37) 

milk_tea

再びありがとうございます。
オリンピック出場はすごくないですか??知りませんでした。
ちなみに・・・上のジャケ写の、どれがモーリスの弟? (・_・?)
真ん中で横っ飛びしてる人でしょーかね?
ぶっちゃけ、モーリス以外、名前と顔が全く一致してないです!!
(さっきから rolandさんの問いかけに答えれば答えるほど、バカが露呈)
ガッカリせずに、またお越し下さい~。
by milk_tea (2005-11-01 23:12) 

roland bynum

ヴァーダインはベイリーの斜め後ろで白い歯を剥き出して笑っている
人です。彼は現在も兄の不在をおぎなってベースバリバリです。
こないだDVDでライブ見たけど、何か鬼気迫るものがありましたね。
太陽の女神でも、ベースの音がやたらデカイでしょ?彼の指は
ご飯をよそうシャモジみたいですからね(オーバーか)
ある人はベイリーのファルセットボイスに、ある人はマッケイのリズムギターに、ある人はモーリスのアフリカ民族楽器に、E,W&Fの音楽を感じるのでしょうが、私はやっぱりヴァーダインのシャモジ指から繰り出すベースラインかなあ。
by roland bynum (2005-11-02 14:03) 

福則

こんばんは。
これはカセットテープでしか持ってなくて、その後、ご無沙汰しちゃいました。
人生、損していたかもしれません。今度真剣に聴こうと思います。
『That's The Way Of The World』は本家より、L.A.のセッションVocalist達
で構成されるWest Coast All Starsによる、アカペラカバーが私のヘビロテです。
Bobby Kimball、Johseph Williams、Tommy Funderburk、Jason Scheffの
4人のユニットで、2ndアルバムの『Naturally』の1曲目が
『That's The Way Of The World』です。 このカバーは超お薦めです。
他にはビージーズの"How Deep Is Your Love"やギルバート・オサリバンの
"Alone Again (Naturally)"のアカペラカバーが最高です。
スティービー・ワンダーの"Sir Duke"のカバーもいいですよ。
by 福則 (2007-07-27 01:35) 

milk_tea

福則さん、マメに書いていただいて恐縮です。

>これはカセットテープでしか持ってなくて、その後、ご無沙汰しちゃいました

なぬぉ~!これは名盤ですよ!ちゃんと聴かなくちゃ。
・・・とはいえ、私もよくあるケースですが、「当時、聞き逃した名盤」を
何十年の時を経て聴き直して同じ感動が得られるかというと何故かそうでも
なかったりしますね。やっぱり若い頃は、吸収力や感受性が最高潮にある
のか、それともやっぱり、その音楽の「旬」というものもあるのかもしれません。
しかし、このアルバムのぬくもり感は私には格別です。これも過去からの
刷り込みなんでしょうけどね。

>L.A.のセッションVocalist達で構成されるWest Coast All Starsによる
>アカペラカバーが私のヘビロテです。

へーっ。聴いたことないです。聴いてみたいな!

>他にはビージーズの"How Deep Is Your Love"やギルバート・オサリバン
>"Alone Again (Naturally)"のアカペラカバーが最高です。
>スティービー・ワンダーの"Sir Duke"のカバーもいいですよ。

曲構成としては相当にスタンダードっぽいわけですね。
ちょっと調べてみます。アカペラもんも難しいんですけどね。
That's the Way....が入っているなら聴いてみたいです。
by milk_tea (2007-07-29 02:37) 

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