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The Beatles Ⅴ ~【番外編】 どうしてShe Don't Care?~ [Beatles]

                       
前回、私が 『Can't Buy Me Love』 の文法表現について、どーのこーのと小理屈を並べたところ
意外にそんなところに引っかかってくれる殊勝な方がいらっしゃって、コメント欄に興味深い新たな
疑問が投げかけられた。
それは、前回のコメントを見ていただくとわかるが、
   
   『Ticket to Ride (涙の乗車券)』 の最後、♪But she don't care~
   は、なんで三人称なのに doesn't じゃなくて don't なのか?
                                  (presented by Zamora さん)

とのことである。

これについて、「確かに不思議だ!」と思いつつポツポツと自分の考えを書いていたら、ふと気付く
と「コメント」の域を超えた大作(ボリュームだけは)になってしまったので、ちょうど次のネタにも
困っていたことだし、取り合えずこれに対するコメントで、1回分使わせていただくことにした。

・・・英語の文法なんて、サラサラ興味なし!という方は読み飛ばしましょう。

でもでも。
こういったちょっとした単語の選び方なんかから、色々なことが見えてくるもんなんですよ。
もしかしたらビートルズの何かとっても大事なエッセンスが、ここから発見できるかもっ!!
(と、もっともらしいことを言って引っ張る。「CMのあともまだまだ続きます」のテロップのように・・・)

Zamoraさん曰く、
>もしかすると、研究本等では既に「定説」のようなものが出来上がっているかもしれませんが
>その手のものを読んでないので私には分かりません。

とのことだが、私も特にはそういう論議や逸話を耳にしたことはない。そこはビートルズゆえ、きっと
何やかや有識者の見解とか最もらしいものが存在するのかもしれないが、知らないのをいいことに
質問者Zamoraさんと同じレベルで好き勝手に考察を加えてみることにする。

(ここからは、ご相談(?)に答える形なので、普段と違い「ですます調」になります。
ただでさえ、「である調」だと、ますます先生呼ばわりされそうなので~。お恥ずかしい・・・)

  

『Ticket to Ride』 の"She don't care" を聴いて、私がパッと感じたことはいくつかあります。

まず、"care"はかなり広い意味で色々に使われる言葉ですが、そのひとつに
"I don't care for sweets" (私は甘いものが好きじゃない) などといった言い方があります。
何故か、これは逆に「甘いものが大好きだ。」と言いたい時に "I care for sweets !! " とは
ほとんど言わない。(日本語で「やむを得ない」は言うが「やむを得る」と言わないのと同じで)

このように、careは否定形で使うのがほとんどなのと、だいたいが自分の生理的感覚を言うような
言い回しが多いから、一人称に充てる don't がくっつくことがほとんど。
すなわち "don't care" の2語は、意味的にも音感的にも、かなりセット販売になっている
感覚があります。      ( ---想定理由①)
これが、"doesn't care" だと何となくインパクトが弱い。パキッと否定してる感じがちょっと
出にくくなる。耳慣れない感じもあるし。
そしてもっと重要に思われるのが、音に乗せてこれを発音する場合、don't は1拍で簡潔に
言い終わるけど、doesn't は1拍にキレイに入らない。無理やり ダズ て感じで圧縮して
1拍で入れることは出来るが、軽快感が薄まります。  ( ---想定理由②)
これは、日本語で言うと「やはり」より「やっぱり」のほうが音に乗りやすい、という感覚と少し似てる
かな?(ちょっと違うかも?)

で、それより先に説明する必要があったのがこれですが、
近年の英語では、(1)知的レベルが低い あるいは (2) かなりざっくばらんな関係  などの時に、
三人称単数の時の動詞に"S"をつけるのを省略する (=she does が she do になる)ことが、
ままあるというのがあります。     ( ---想定理由③)
なので、ちょっとワルぶってたりする仲間たちの間で話し合っている雰囲気での
「♪She don't care」は、「あの女、まるで気にしちゃいねーんだよ!ヤレヤレ・・・」みたいな
感じが漂います。くだけた感じと、あとちょっと悪っぽいクールさも出るわけです。
なので、③の理由で does でも do でも、取り合えずどちらでも構わないいう前提があるとすれば
ここのフレーズに音感的にキレイに乗る"do" を採用したほうがノリがいいということになる。 

それと、最後は、Zamoraさん説も確かにあって
 >つまりMy baby=Sheは三人称だけど、She=Youなので
 >doesn’tじゃなくdon’t そこにこの男の心情が乗っかってる。

まさにそうで、she doesn't を she don't にすることによって、sheを、自分とセットの存在として
近寄せる感じもあるように思います。    ( ---想定理由④)

また、これもかなり微量ですが、理由のひとつに入りそうなこととして
"do"と違って"does"って言葉は、語感的に(おそらく文法上の存在感としても)妙な重さというか
存在感がある単語だということです。サラッと流れず、いったん止まるんですね。
『Don't Let me Down』 にも、こんな詞があります(必死で探した) :

   And if somebody love me like she do me
   Ooh she do me - Yes she does

これなんか、somebody に続く動詞も loves じゃなく love だし、"she do me"って
これまた言っちゃってます。 まさに同じですね。
これは上記で言う「理由③」がほとんどっていう感じがします。
かなり、ラリッとした(なんじゃそら)ダレた空気の中でジョンが勝手で甘ったれたことを色々
つぶやいてるような詞なわけで、上記部分は
「もし誰かが、アイツが俺を愛してくれると同じくらいに俺を愛してくれるとしたら・・・そう、アイツが
俺を・・・俺を愛してくれるみたいに・・・・」 とグチャグチャしたことを言っている感じ。
そんな感じだから文法もテキトー、みたいな。
ここは、結局「ああ~♪アイツだけが俺を愛してくれる・・」っていうことを強調したいわけで
"she do me" とドンヨリ感満載で連呼したあとに、一瞬ちゃんと覚醒したような雰囲気と
言葉の強調と重みづけ、みたいなことで "Yes she does" と締めてるわけですね。
これを参考にすると、逆にTicket to Ride のような軽ノリの曲のラストとして言い放つ言葉としては
doの ほうがライトタッチで空間に思い切って放てる感じがあるのだと思います。( ---想定理由⑤)

-------------------------------------------------------------------

ということで、Ticket to Ride に関しての私の見解としては
上記の想定理由の
  ③(Sをつけない傾向説)を前提として、①(care には don't がつきもの説)
  ②(doesは音に乗らない説)がブレンドされ④(彼女を自分に近づける説)の思いを込めつつ
  ⑤(軽い感じで放て!説)で、"She Don't Care" に決定!!! 
                                     
という結論に到りました。

これを、ブレンドのパーセンテージで表現すると
 
 ①(care には don't がつきもの説)   10% 
 ②(doesは音に乗らない説)         30% 
 ③(Sをつけない傾向説)            35% 
 ④(彼女を自分に近づける説)        10% 
 ⑤(軽い感じで放て!説)           15%    (計100%) 

こんなニュアンスではないだろうか。
それにしても言語とは面白いもので、外国語としてそのニュアンスを解釈しようとすると、こうやって
長文での説明が必要になるような複雑な事になるが、ネイティブが自分の言葉にその単語を選ぶ
のにはたぶん1秒だってかかってない。
我々日本人だって、「とても心配だ」と「かなり心配だ」と「すごく心配だ」を、どう使い分けているの
かと問われても、なんとなく使い分けているだけで、説明は出来ない。
(しようとしたら、やっぱりこのくらい長くなるのかも)
なのでジョンやポールは、あれやこれや考え抜いて"She Don't Care!"の1文をひねり出してきた
わけではなく、一瞬のひらめきで「なんとなく」持ってきたにすぎないに違いない。

ところで、Zamoraさん指摘の何かのブルースソングの歌詞  
♪My baby don’t care at all.  ですが

どういう曲か正確にわからないにしても、たぶん上記の説で同様に解釈できる感じがします。
きっと、かなり似た世界ですね。
メロディを知らなくても  ♪ マ/ベビ ドン ケー アロール ("my"はシンコペーション)
みたいなメロディが容易に想像できます。やっぱり doesn't じゃ乗りにくいんですよね。

この曲が実はものすごい有名だったとしたら、彼らがこの歌詞から引用したってこともあるかも
しれませんが、私の考えでは、関連性はなく「ただ何となく」じゃないかな、という感じがしてます。
どうでしょうか。

ところで・・・・・・・・・・論点は全然違うんですけど
今回この 『Ticket to Ride』の歌詞を改めて全部読んでみたら、何だか「??????」 すごい
不思議なんです。
邦題が「涙の乗車券」でしょう。この邦題に私をはじめ、皆かなりダマされちゃってるんじゃないか
という気がしてきた。だって、このTicket to Rideという言葉以外にはどこにも、電車に乗って
彼女が出かけていくような描写はないのです。今まで漠然と、「僕」に愛想をつかした「彼女」が
どこか遠くへ行く切符を買って出て行っちまう、というニュアンスで受け止めていたけど
果たして、彼女は本当に「列車」に乗るのか?「切符」を買ったのか? かなり怪しい。
これはもしかすると・・・「Get a Ticket to Ride」という言い回しが「(俺から)手を切ろうと
している」という意味の比喩的用語なのではないか?
人生を列車での旅と捕えると、恋愛は、ひとつの駅と言える。("恋の停車場(ていしゃば)"なんて
言い方もあった。古ぃ~)なので、その恋から離れることは「Get a Ticket to Ride」
(また列車に乗り直す)と表現できるかもしれないのだ。
(実際は舟になんか乗っていないのに、『船頭多くして舟、山にのぼる』とかいう言い方をする
のにも世界は似ている。・・・って、全然違うな、うん)

本当は、なんら乗車券なんか関係ない歌なのかも知れない。
彼女はただ男と別れたかっただけで、実際なんの切符も買い求めてないのかも。
まあ、そんな間違いは彼女は全く気にしてない(she don't care)だろうが・・・。

(こんどこそ、ビートルズ編、ひとまず終了です!たぶん!)


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parlophone

milk_tea先生、こんばんは!
ひゃ~、「She don't care」にこんな深い意味があったなんて…。
Zamoraさんの問題提起はじつに意味があったわけですね~。
ぼくなんか先生の定義③しか考えたことありませんでした。

たとえばガーシュウィンの有名な「ポーギーとベス」のなかに
「Bess, You is My Woman Now」という曲がありますよね。

もともとしち面倒くさい文法なんてものは、権力者が民衆に権力を剥奪されないために作り出したものなので、パワフルな民衆は文法なんか無視してコミュニケーションを図るわけで、「She don't 」も「You is」もいっしょだと思ってました。

あ、そういえばクラプトンの「コカイン」(もともとはJ.J.ケールの曲)にも「She don't lie」というのがありましたね…。

またまたスゴク勉強になりました。
とくに「Don't Let me Down」の解釈はすごくリアルで、ジョンの心境がまざまざと思い浮かびました。
ありがとうございました!
by parlophone (2005-10-25 01:35) 

milk_tea

>「She don't care」にこんな深い意味があったなんて…。

いやいや、知りませんよ~!
無理やり色々解釈をこじつけてみただけです!
なかなかもっともらしかったでしょう~

>「Bess, You is My Woman Now」という曲がありますよね。

ふむふむ
これはおそらく"My woman is you" の倒置と思われるので、文法的には
間違ってないですね。

>またまたスゴク勉強になりました。

くれぐれも信じないようにお願いします!
どの情報も、何の裏づけも取っていない「口から出任せ100%」ですから。

>とくに「Don't Let me Down」の解釈はすごくリアルで、ジョンの心境が
>まざまざと思い浮かびました。

「とにかくオマエ以外俺を愛してなんかくれないんだから、どうかお願い、
捨てないでくれーっ。愛してくれーーーっ うぉーーーーっ」
と、怨念に近いもんがありますね。
ヨーコも、こうまで歌われちゃぁ~もう腹をくくるしかない、って思ったかも
知れません。
by milk_tea (2005-10-25 13:22) 

Zamora

Milk_teaさん こんばんは。Zamoraです。

凄い!凄い! 凄いですね。
予想を遥かに凌駕する量と内容に圧倒されました。
ありがとうございます。

前から「脳内プレイ」が出来るほど聞き込んでいらっしゃるところが
かなわないなあと感じてましたが、これ程とは。
同じレベルから始めた筈なのに、あっという間に見えなくなった感じです。

一応、「近づける説」を採用頂いて嬉しい限りです。
出来れば12%位欲しかったなあ。(笑)

全般的にはやはり、くだけた言い回しと、特に
メロディーに乗せることもあり語感優先ということでしょうか。

それから引用説、ご指摘の通り可能性は低いかも。
でも、Buddy HollyのWords of Loveが割と原曲に近いアレンジで
カバーされていたりで、唯一無二のビートルズが、
実は結構模倣から開花しいていった、なんて見方をしたいんですよね。
このへんは、男が歴史的ロマンを求めたがるからかも。

なので、先だっての好きな曲ベスト3では中~後期が人気でしたが、
私はというと、曲単体では前期派なんです。その勢いにワクワクします。
All my loving  I should have known better  She loves you かな
どうも中後期はアルバムのつながりで聞くようなところがあって
曲単位では選びづらいですね。もちろん好きな曲いっぱい有りますが。

ビートルズ、ここでひとまず終わりとのことですが、
これだけ面白い分析というか解説は捨てがたいですよ。
たぶん、この次Don’t let me downを聞くときは
前とかなり違って聞こえますから。

指摘の全てが正しいかどうかより、言説に説得力があります。
どうですか、月一で1~3曲位ずつ分析するってえのは。
そうだと、それ程負担にならないし、5~6年続けられます。
全部終わった時点で本にする。
題して「ビートルズメッタ斬り、口から出任せ100%」

P.S. タクシードライバーの回も面白かったです。好きな映画なので。
私は最初、名前を「トラヴィス」にしようかと迷いました。(笑)
by Zamora (2005-10-25 23:07) 

Zamora

Milk_teaさん 続けて書き込むのもどうかとは思いますが、
今思い出したので。

1971年だったかの告白本Lennon remembers(邦題ビートルズ革命)で
ジョンはこんな風に言ってたと思います。
「あの頃の他の曲と比べてみてくれれば判りますが
Ticket to rideはちょっと進んでいたと思います。」と。

この発言は、Milk_teaさん指摘の比喩或いは暗喩のことを
言っていたのかもしれませんね。
でも、ここでインタビュアーが「成る程ね」と頷いていても、
それこそ、Milk_teaさんの解説でも無い限り、
解りゃしないっつうハナシです。増してや、翻訳では。
by Zamora (2005-10-26 01:25) 

ドンダズン

歌詞なんかで語呂が悪いときにはこういう場合もあるみたいですよ。
ボンジョヴィにもShe Don't Know Meって曲有りました。
by ドンダズン (2005-10-26 02:13) 

milk_tea

あ、Zamoraさん。 (今回ばかりは来ていただかないと、の人ですね)

>予想を遥かに凌駕する量と内容に圧倒されました。

少なくとも量には圧倒されたでしょうねー。バカです、完全に。

>一応、「近づける説」を採用頂いて嬉しい限りです。
>出来れば12%位欲しかったなあ。(笑)

キブンとしては、確実にあると思いますよ。自分のカノジョをちょっと
ぞんざいに扱う感じですね。じゃ特別に13%あげましょうか。
ヨドバシのポイントカードでもなかなか13%は付きませんよ~!

>唯一無二のビートルズが、
>実は結構模倣から開花しいていった、なんて見方をしたいんですよね。
>このへんは、男が歴史的ロマンを求めたがるからかも。

そういうのはわかる。イエス・キリストには実は付き合ってるカノジョが居た
っていう話をちょっと前にテレビで見たのですが、「なんだキリストも結構
俗なヤツなんじゃん」って何となく新発見で嬉しくなっちゃう、みたいな感じと
ちょっと似てますよね。(違ったらスイマセン)

>All my loving  I should have known better  She loves you かな

なるほど!
でもやはり、前期のあのフレッシュで前のめりなライブ感と、中後期の
作りこみ芸術志向は全くベツモノであって、同じ土俵で比較するのは難しい
ですよね。根本的に味わい方が違うっていうかね。

>これだけ面白い分析というか解説は捨てがたいですよ。

嬉しい!(;_;) こういうお言葉を励みに、地味に書き続けます。

>どうですか、月一で1~3曲位ずつ分析するってえのは。
>そうだと、それ程負担にならないし、5~6年続けられます。

ぷっ!確かにそれは面白いかも・・・・・
小理屈フリーク(?)の私なら、出来そうではありますね。
"毎月5日はたまひよの日!!"みたいに、月1曲コースにしたら
ほとんど、老後の楽しみにまで引っ張れるでしょう。やろうかな。

>題して「ビートルズメッタ斬り、口から出任せ100%」

それだと、何かビートルズがキライみたいじゃないですか~!(笑)

>P.S. タクシードライバーの回も面白かったです。好きな映画なので。

それはそれは!!
しかしあの回はヒット数がすごい少ないんです。やっぱり古いしマイナー扱い
の映画なのかなぁと思いました。
お暇があったら、Zamoraさんの「好きなシーン」コメント入れて下さい。
私は「先輩ドライバーに、落ち込んでいることを相談して淡々と諭されるシーン」
と、ラスト「ベッツィをタクシーに乗せて、最後お金を取らずにスーッと車を出す
のをベッツィがやや心残りそうに見やるが、でもすぐに家路につくシーン」
です。 (やっぱり小理屈野郎だ)
by milk_tea (2005-10-26 12:25) 

milk_tea

2本目です。(会社で、小窓にしてコソコソと・・・。)

>1971年だったかの告白本Lennon remembers(邦題ビートルズ革命)で
>ジョンはこんな風に言ってたと思います。

私、そういう裏を何も取ってないので(そのテの文献とかほとんど読んだことが
ない・・ただ単純に音楽聴いてただけ・・)"告白本ではこう言っています"
なんて書いてあると、すんごくドキドキしちゃいます~。(出まかせがバレる!)

>Ticket to rideはちょっと進んでいたと思います。」と。

そうなんだ!どの部分のことを言うんでしょうね・・・・興味ありますね。
私はこのへんの曲はあまりに聴き慣れてしまったせいか、もはや冷静に
新鮮な視点で評価出来ない感じがあります。
でもやっぱりこれは純粋に音楽性のことを言ってるんだろうな。

「涙の乗車券」の邦題タイトルは、たとえて言うと、
日本語で「彼女は三行半をたたきつけた」と表現した文章があったとして
これを英語圏の人が、「彼女は3.5回叩いた」というニュアンスに間違って英訳
した、というような感じ。あれはいわゆる"慣用句"ではないかと。
なので、あくまで原詞としては何ら画期的ではないだろうと思うんですね。
わかりませんが。
そういえば、"邦題の間違い"であまりに代表的なものは、ヘレン・メリルの
『You'd be So Nice To Come Home To』 ですよね。
邦題は「帰ってくれたら嬉しいわ」だったと思うんですけど、これは全く
違うんですよね。これは
 It would be so nice (for me) to come home to you
(貴方のところに帰っていけたら最高だろうな)を主語を置き換えて言ってる
わけで、歌い手本人は「帰ってくる人を待っている」側(女性)ではなく
「(あなたの元に)帰っていきたい人」のほう(男性)なのです。
女性歌手が歌ってるから、邦題をつけた人も曲を聴いてる人も、勘違い
しちゃったわけですね。

と、こういうわけで、邦訳は結構テキトーだ、と見ていいのです。
なので、慣用句を慣用句と正しく捕らえて 『Ticket to Ride』に正しい邦題を
無理やり付けるとすると、「涙の三行半」ではないでしょうか。(売れない!)
---

あとドンタズンさん! (こちらはお初でしたね?)

>歌詞なんかで語呂が悪いときにはこういう場合もあるみたいですよ。
>ボンジョヴィにもShe Don't Know Meって曲有りました。

私が1コラムかけて長々こねくりまわした理屈を、2行でアッサリまとめ
られるとすっごい脱力するんですけど~・・・(笑)
by milk_tea (2005-10-26 17:58) 

Zamora

Milk_teaさん、こんばんは。Zamoraです。

Taxi driverで私が好きなシーンは、やはりラスト、
最初と同じくDriver仲間と「何事も無かったかのように」馬鹿話を
していて、ベッツィー(でしたっけ?)が既に車に乗っている。
あとは、Milk_teaさんの描写通り。その時もヤツの眼光は一瞬鋭い。

私も、遼さんが何処かで書かれていたのと同じで、
「知的さと愚鈍さとを…」といったようなことはとてもとても。

ただ、あの回の
>素の自分を取り戻したい時などに無性に見たくなるのが
>私の場合断然この映画だ。
>こんなトーンの暗い、絶望感漂う映画で心癒されるのはおかしい、
>と思われそうだが、実際に癒されるのだから仕方がない。

の部分に共感してしまって。私もあの映画、「妙な透明感」が有って
落ち着くんですよ。何故かは、私も「仕方がない。」と答えるしかないですが。

無理やりこじつければ、Carol kingの… いやいやこじつかないなぁ。(笑)

また時々お邪魔させてください。 
月一曲のビートルズ、決まりでいいですよね。
いやあ、楽しみ。

いつも長文すみません。
by Zamora (2005-10-27 01:22) 

milk_tea

>最初と同じくDriver仲間と「何事も無かったかのように」馬鹿話をしていて

でしたね。トラヴィスは、ああいう強力すぎるほどの"非日常"をひとつ越えて
その後、結局どういった精神状態に落ち着いてまた再び、あの忌まわしい
"日常"に戻っているのか。これがあの最終シーンのいくつかの様子からでは
我々に今ひとつ結論として訴えかけてこないままに映画は終わっています。

>その時もヤツの眼光は一瞬鋭い。

そうそう!
なんかただ「再び日常に戻り、穏やかに暮らしている」だけでもなさそうな
不安定な余韻が残る。観る側としては、2時間もトラヴィスに密着して付き合っ
ていたのに、結局最後まで彼が真に何を考えているのかイマイチ判らぬまま
・・・・・という、なんかちょっと淋しい映画なわけですが・・、病んでいる都会には
今日も明日も、どんよりと濁った空虚な夜が訪れるのみで、トラヴィスが
大統領候補に言っていた「水洗便所のようにこの街を洗い流してくれる」何か
など、ありはしない。漂うようにこの街で生きて行くほかないのだ。
ということで、この映画は変に空しい。その空しさがこの映画の価値なんで
しょうね。(ビートルズの項でこんなの語ってもしょーがない)

>月一曲のビートルズ、決まりでいいですよね。
>いやあ、楽しみ。

そうですか~?じゃあ考えてみます。
唐突にやるのもナンなので、次回予告方式で行くとか・・・。

♪チャーーンチャーチャラッチャー・・・
ハーイ、サザエです!食欲の秋ですね~石焼イモ屋の声がするとついフラフラ
外に出てしまってカツオに笑われてまぁす。・・・さて来週のサザエさんは :

 * 『Love me Do』 の "Do" ってなんだ
 * 『Fixing a Hole』 は何の暗喩だろう
 * 『I Want You』 -"She's so heavy" の最適な日本語訳を考える

の3本でぇす。 ・・・ン・ガ・ググ (←まんじゅうノドに詰まらせてる音)

(いつになるかはわかりませんがお楽しみに)
by milk_tea (2005-10-28 12:06) 

Oyadomari

始めまして。Google検索からやってきました。検索は「Beatles she don't care」でした。一発でこちらへ来れました。3年前の話題になっていますが、随分以前に友人と議論したテーマでしたので、気になっていました。旧友は学生時代のバンド仲間でしたが、還暦を前にしてこの世をさってしまったのです。ビートルズの信奉者でしたので、この三人称単数の話をしたことがあるのです。上に書かれている3番んの理解に近いのですが、少し異なります。相当に好きなのに、余り気にしてくれず、チケットを買ってどこかへ去ってしまうから、ふてくされていると云うのが、友人と合意した理解でした。私も相当な音楽好きなので今後も参ります。
では、さようなら。
by Oyadomari (2008-08-09 23:53) 

Oyadomari

済みません。URLを間違いました。正しいのはこちらです。
by Oyadomari (2008-08-09 23:58) 

milk_tea

Oyadomariさん初めまして、古い記事にコメントどうもありがとうございます!
音楽ではなく「英語」に特化したサイトを作られているんですね、すごい!

>旧友は学生時代のバンド仲間でしたが、還暦を前にしてこの世をさってしまったのです。

うわ~そうなんですか。それは早すぎる別れでしたね・・・。

>相当に好きなのに、余り気にしてくれず、チケットを買ってどこかへ去ってしまうから、ふてくされていると云うのが、友人と合意した理解でした。

なるほど、ふてくされた「やけくそ」な感情が、あえて文法を無視しているのだと。
あるかもしれませんね。
ただ、3年前の自分がどう書いたかは記憶に薄いですが(って、本文を読めば
いいんですけど、長文で我ながら読むのが面倒くさい。笑)、キメとなる部分を
歌うに当たり、細かい文法の正誤よりも、音に言葉を載せた語感の方を優先
してノリを大事にしている、という感じじゃないでしょうか。
She doesn't care だと、どうしてもダズンが1音に載らないので、ドン(ト)
で代用しただけに過ぎない、と今の私は見ています。
その辺が少しテキトーな方が若者っぽくてカッコよくもあったのだと思います。
とはいえ大概の曲は、文法は正しく歌われているわけですが。
感情を炸裂させるようなキメのフレーズでは「文法よりも音に乗せた語感を
どうしても優先したい」という時がたまーにあった、という事ではないでしょう
かね。

ビートルズでいくつか記事を書いていますのでそちらもよろしかったら読んで
感想を教えて下さいね。
Oyadomariさんのところもちょっと読んで勉強させていただきます!
by milk_tea (2008-08-12 11:56) 

Oyadomari(親泊)

 私のコメントへのご返事有難うございました。古い記事へのコメントで驚かれたようですが、良かったでしょうか?
 Milk_teaさんの今回のご説明も良く理解出来ます。私と亡親友とのディスカッションは英語としての話に徹したものでしたが、記述しましたようにその彼は、ビートルズの信奉者な訳ですから、素晴らしいミュージシャンでもあった訳です。彼も私もプロバンドで活動した事があるのですが(学生時代に)、卒業後も彼はライブバンドのリードギター兼ベースギターをやっておりましたので、27年振りに再会した際には、彼のその腕にはまだまだ、光るものがあったのです。ですから、今回は音楽的な解説も少しやりましょうね。その前に、三人称単数の「does'nt--->don't」ではいけないかどうかに関しては、「Ticket to Ride(涙の乗車券)」の他に、同じくビートルズの歌の、「She's a Woman;My love don't give me presents,,,,,,,,she don't give boys the eye」と云うのがあります。2箇所で三人称単数扱いになっていません。今、その親友を偲びながら3枚セットの内の一枚目のCDであります「The Beatles BBC Session;Vol.1」を久し振りに聞いておりますが、19番目がその歌で、20番目が「涙の乗車券」となっています。
 さて、音の関係ですが、通常、1小節の中に4拍ある中で、確かに、「don't」は1拍に乗り易く、「 doesn't」は乗り難いのですが、「Ticket to Ride」の楽譜を見ますと、「but」は2拍目の裏、「she don't」の「she」が3拍目の頭になっていて「don't」は3拍目の裏に(四分音符で)声を出すのです。何れも、シンコペーション風ですし、Milk_teaさんも正確には、一拍に乗り易いからとまでは云ってませんですから、寧ろ、「語呂」と云う意味で「doesn't」が冗長と云う方が良いのかも知れません。ですから、Milk_teaさんの言い分も説得性はあると云えるでしょうね。
 そろそろ、CDが終わりますので、ここらで私も終えます。音楽の話も通じますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。私のサイトは英語だけではなく、かなり欲張っています。今度は、こちらを訪ねてみて下さい。
http://oyadomari.net/
by Oyadomari(親泊) (2008-09-02 17:46) 

通りすがりのブルーズマン

たまたま通りかかりで見つけました。古い記事に今更書き込み失礼します。
もちろんdoesn'tよりdon'tの方がこの場合音符に乗った時の語呂が良かったというのもあると思いますが、付け加えさせていただくなら、(特に昔の)アメリカ黒人達の話す英語では三単現であってもdoesn'tは使われず基本don'tなのです。なので昔のブルーズの曲の歌詞はほとんど「He don't~」「She don't~」です。ローリングストーンズ程ではないにしても、ビートルズもブルーズ等の黒人音楽からの影響を受けているはずですし、そういった狙いもあったのではないかと思います。
by 通りすがりのブルーズマン (2011-03-02 01:46) 

milk_tea

通りすがりのブルーズマンさん、書き込みいただきありがとうございます。
これはもう5年以上前の記事でした。なんかお恥ずかしいです。
確かにビートルズの初期は黒人R&Bのカバー曲がたくさん入っていることから
考えても、黒人英語の要素を取り入れているというのはきっと明らかでしょうね。
三単元のSをつけないとかの延長でdoesn'tを使わずdon'tで代用するのも黒人
英語の流れなんですね。
(5年前の自分の文章なんかおそろしくて今読み返す勇気が出ない。何が書いて
あるのか?(笑))
私、黒人英語は全然造詣が深くなくて。ご指摘どうもありがとうございました。

プレスリーにしても、黒人ぽく歌える白人シンガーといって脚光を浴びたわけで
プレスリーに影響も受けているビートルズだって当然その要素も含んでいます
よね。
白人のロックンロールは、黒人音楽のスパイスを取り入れてようやくクールで
深みあるものになっていったのでしょうね。きっとそこがミックスされていないと
アメリカの奥地のドライブインで流れているような、ひねりのない甘ったるいだけ
のカントリーミュージック以上のものにはならなかったのかもしれない。

何にせよ、もっと勉強しないとダメですね(笑)どうもすみません。
ビートルズの歌詞検証もまた久しぶりにやってみたいです。

by milk_tea (2011-03-04 01:40) 

Yoshiko

楽しかったです!
ありがとうございました。
by Yoshiko (2015-11-11 11:58) 

milk_tea

Yoshikoさん、来訪いただきありがとうございました!
なんかいいかげんな事ばかり書いてますので真に受けずに。(笑)
by milk_tea (2015-11-22 22:05) 

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