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Minnie & Carpenters  ~ラブソングの歌詞世界~ [洋楽]

     
     
最近、TSUTAYAなんかに行って洋楽コーナーをブラブラ流していると、往年の有名アーティストの
ベストやオムニバスアルバムがあまりに多いのに、いつもながら驚いてしまう。
労せずして過去の名曲を一応浅く広く押さえておこうという、面倒くさがり屋の昨今の若者向け
なのか、青春時代に親しんだ曲を改めて聴いて遠い日の甘酸っぱい思い出に今一度浸りたい
中高年向けなのか・・・まあ両方なのかもしれないが。

特に目立つのがオムニバス、その中でこれまたダントツに多いのが「ラブソング集」。
(ジャケットはだいたい赤とかピンクで、イラストはハートの絵柄とかで、いかにもという感じ)
まあ、いつの時代も音楽と恋愛は常に密接な関係にあるものであり、世の中に存在する
(歌詞をもつ)曲の8割は恋愛がらみだと言っていいだろうから、ラブソングというくくりで名曲を
集めたら素材に困ることは永遠にない。常に需要と供給に溢れかえった市場である。

そんな中でも、前回取り上げたミニー・リパートンの『Lovin'you』 などは、ラブソング集に絶対に
なくてはならない「必須の数曲」のうちの1曲だ。これが入ってないと、ラブソングのオムニバス盤
として片手落ちという感じすら否めない。
この曲がそれほどまでに広く評価されるのは、当然楽曲の良さとシンガーの魅力や歌唱力と
いうのはもちろんだが、日本人にもわかりやすい、ストレートでピュアな愛情表現に終始した歌詞
であるというのも要因として大きいと思う。

さて、洋楽のラブ・ソングの歌詞だが、感情レベルで仕分けるとだいたい以下の4つの
どれかになるような気がする :

 ①なかなか振り向いてくれない、思い通りにならない相手(だいたい女)に胸を焦がしている
 ②付き合って日も浅い感じで、とにかく相手を賛美しまくり、幸せでボーッとしちゃってる
 ③2人の愛情もピークに達し、永遠の誓い(=結婚)が視野に入っての地に足ついた問いかけ
 ④昔の恋人への未練から、復縁を切に願う(洋楽では意外と少ない)

これが邦楽になってくると
別れた男に新しい恋人が出来てちょっと妬けちゃう微妙な私、みたいなのとか、昔の恋人は
今、元気にしてるのか、あの時は幸せだったよね・・みたいな単なる回顧とか(それこそ洋楽には
ほとんど見られない) 果たまた、涙をお拭き。さあ2人で未来に向かって飛び出そう、2人なら
出来るはず。みたいな無意味に前向きで肩に力の入ったものとか、かなり千差万別だ。
でも洋楽は、余計な湿っぽさは一切ない。今現在の感情を相手にストレートにぶつけるだけだ。

さて話は戻るが、『Lovin'you』 の歌詞は、おもいっきり②である。②の代表格と言って良い。
やっと想いがかなった恋人によせる神がかったほどの憧憬の気持ちと、その横に寄り添って
いられるという至上の喜び。
幸福感にどっぷり浸っている純真無垢な女の子の微笑ましいこの感じ・・・どこかで見たことが
ないか?
・・・・そうです。カーペンターズの 『Close to You』 です。そういえばそうでしょう?
これも 『Lovin'you』 同様、ラブソング集に必須の1曲だ。個人的にどちらも大好きな曲。
やっぱりラブソングはどうせラブソングなんだから、こういう砂糖菓子のように甘く優しくフワフワした
もので良い。恋とはそういうものなのだ。

ということで、この2つの代表的ラブソングの歌詞世界をちょっと追ってみたい。
まず、『Close to You』 だが

   Why do birds suddenly appear Every time you are near?
   Just like me, they long to be Close to you

   貴方が居ると、どうして鳥たちがどこからともなく集まってくる のでしょう?
   きっと私と一緒で、貴方のそばに居たいのね・・・・・

のっけから、相当イッチャってる感じである。
彼に本当に鳥が集まるとしたら、どう考えても他の物理的な理由だろうし。
まあ~犬は人柄を見るというけれど、鳥はなあ・・。
そして次。

   Why do stars fall down from the sky Every time you walk by?
   Just like me, they long to be
   Close to you

   貴方が歩いているだけで、どうして星がたくさん空から落ちてくるのでしょう?
   きっと星も私と一緒で貴方のそばに居たいのね

ああ~、単に夢見がちな少女なのですね・・・・・・・・
ものすごい洗脳のされ方・・・。

ここで、『Lovin' you』 行ってみましょう。

   Lovin' you is easy cause you're beautiful
   Makin' love with you is all I wanna do
   Lovin' you is more than just a dream come true
   And everything that I do is out of lovin' you

   貴方が好きなのは貴方が素敵だから
   だからいつでも貴方と愛をささやいていたいのよ
   貴方を想うことは、夢が叶う以上のこと
   だから私がすることは何でも貴方への愛から来ているの

鳥も星も落ちては来ないものの、傾倒度合いでいったら、やっぱり近いものがある。
もっともらしいことを色々言っているようで、そのじつ、中身など特にない。とにかく大好きなだけ、
みたいな。前者に負けず、相当テンションは高い。
なににせよどちらも、恋愛の典型的初期症状の状態と思われる。

そして、サビに来ると、(『Close to You』)

   On the day that you were born
   The angels got together
   And decided to create a dream come true
   So they sprinkled moon-dust
   In your hair of gold
   And starlight in your eyes of blue

   貴方が生まれた日
   天使たちがやってきて、夢を形をするのに彼を選び
   貴方の金色の髪に月の光を
   青い目に星の光をちりばめたのね

『Lovin'you』 では

   No one else can make me feel
   The colors that you bring
   Stay with me while we grow old
   And we will live each day in springtime

   貴方が私に届けてくれるたくさんの色は他の誰も
   見せてなどくれない
   年を重ねても一緒にいてね。そして春の光の中で
   毎日暮らしましょう

”イッチャってる度数”で言うと、『Close to You』の独り勝ちではあるものの、信仰に程近いレベル
の相手への憧憬と賛美、溢れんばかりの純真無垢な想いのトーンや湿度がやはり似ている。

この2曲が国内外で息長く愛され続けている理由は、結局誰しも、純粋で絶対的で唯一無二な
愛情をどこかで求めているし、こういうラブソングを聴きながら無意識的に「真実の愛とは?」の
基本に皆それぞれに立ち返って、結果心穏やかになるのではないだろうか。

しかし、彼の近くをたまたまバタバタ飛んでいる鳥に共感を覚えたりしているこの歌の主人公を
そう笑ってもいられない。
自分の遠い記憶をたぐると、高校時代、夕方のグランドで部活の最中、丘の向こうに沈む真っ赤な
夕日を眺めながら「あぁ~あの夕日は彼の住む○○町(その頃彼は西のほうの海岸沿いに住んで
いた)の海に沈んでいくんだなあ。キーッ!うらやましい!!!」などと、夕日に本気で嫉妬して
西の空に向かって石を投げたりしていたことがあった。
やはり恋をしている人間は、尋常な状態ではない。


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