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The Beatles Ⅲ ~【前編】 ビートルズの歌詞世界~ [Beatles]

               

さてさて。
もう1回、ビートルズでひとネタこねくり回してみるとしたら、切り口は何かなー?とちょっと考えたら
・・・・・おお、あった!私の得意な "歌詞の世界" が残っているではないか!

私って結構、左脳派なんですよね。結局。
楽理知識が明らかに足りないもので、純粋に音楽性について述べようとすると、頭の中では明確に
その位置付けが出来上がっていても、それを言葉にしようとするとボキャブラリがまるで追いつか
なく、薄っぺらなものにしかならない。「とにかく (・∀・)イイ!!」と叫んでいるだけで1コラムを
成立させるのはかなり苦しい。音や匂い、味などを言葉で表現するというのはつくづく難しいもの
だと思う。
そんな時、専門知識と専門用語がかなり身を助けるわけだが、私にはそれが(・∀・)ナイ!! 
だが、歌詞についてだったらアナタ・・・いくらでもグダグダ語りますよ~、私は!

さて、ビートルズの歌詞について個別に考察する前に、まず彼らの歌詞世界を単純にジャンル
ごとで類別してみた。(好きだよな~、類別。)

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①カラッとした恋愛モノ     
    例: 初期の作品の8割

②架空の誰かの物語
    例: Rocky Racoon, She's Leaving Home, Lady Madonna, Lovely Rita

③実在の誰かへのメッセージ  
    例: Hey Jude, Don't Let me Down, Get Back

④ほとんどラリってて無意味
    例: Come Together, Lucy in the Sky with Diamonds, I am the Walrus

⑤ むやみにノーテンキ
    例: Octopus's Garden, Ob-La-Di, Ob-La-Da, Maxwell's Silver Hammer

⑥軽いノリの人生哲学 
    例: Money, In My Life, Carry that Weight, Hello Goodbye (←きわめて軽い)

⑦重いノリの人生哲学  
    例: Across the Universe, Because

⑧重いノリのインド哲学 
    例: 言うまでもなく・・・(笑)

⑨プチ・ラジカル 
    例: Revolution, Yer Blues, Happiness is a Warm Gun

⑩生き物や自然への讃歌     
    例: Mother Nature's Sun, Black Bird, Fool on the Hill

⑪愛と平和の願い 
    例: All You Need is Love (でもこれだけかも)

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ま、ザッと分けてこんな感じではないか。
こうしてみると、他のアーチスト達と比べると確かに、単なる色恋を超えた多種多様なテーマを
扱った、知的で意欲的な歌詞世界が多いことがよくわかる。さすがビートルズ。
・・とは言っても、実際曲を仕分けてみるとかなりの作品が、①になった。やはり、愛の心が人を
歌に向かわせるのは、どこの国でもいつの時代でも同じである。

しかし意外なことに、これだけ多くのラブソングがありながら、「愛の言葉」としてリアルな形を
もって心に深く沁み入ったという曲が個人的にはほとんど無い、という事にも今回改めて気付いた。
これはすなわち、ビートルズの歌詞は、その一部を切り取って「こういう気分ってあるよねー」とか
「私もこんな恋愛、してたわ」などと、個人的感傷と絡めながらある湿度をもってその曲を聴くという
ような、ラブソングならではの醍醐味はイマイチ味わいにくい、ということである。
もちろん、初期に見られるI Saw Her Standing There だの、I 'm Happy Just to Dance
with You だのといった、ダンパ会場でのいざこざみたいな若く単純明快な色恋ソングに、
過去の青かった自分を投影する人もいるかもしれない。だがこういうものは、リアリティはあったと
しても下世話な感じはしない。あくまで爽やかで乾いている。

また一方、『I Want You』のような、胸をえぐるように愛を叫ぶ究極のラブソングもあるわけだが、
あそこまでくると心に沁みるというよりも、あたしはアンタの母親じゃない、と逃げ出したくなるよう
な、男女の枠を超えた大きな愛を要求してくる圧迫感があり、理解は出来るが自分に重ねること
は出来ない。Johnの、愛に恵まれなかった生い立ちに改めて思いを馳せる程度である。

そしてまた逆に、ポールが訴える愛は何の翳りも障害もなく極めて健康的で、日本人好みの
侘びさび感や甘酸っぱさをほとんど持ち合わせていないために、これまたそんなに深くは我々の
心には訴えかけてこない。

結果、ビートルズが叫ぶ「愛」は意外にひどく乾いていて、受け止め側が寄せる、陳腐で
ありふれた共感を突き放すようなところがある。
そこが時代を超えた永遠のCOOLさを感じさせる所以であろうか。
(その割には、メンバー間の確執や距離がテーマになってくると、途端にめいっぱいジトジトして
いるわけだが)

さて、ある程度ビートルズの歌詞の全体像をつかんだところで(ホントか?)、私がこれまで
個人的に感動したり、共感したり、勉強になったりしたビートルズの歌詞をいくつか抜き出して
つれづれなるままに語ってみたいと思う。


(と、書き始めては見たのだが、あまりにも長くなってしまったので不本意ながらここで一旦
切ることにする。すぐに【後編】としてアップします。)


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コメント 5

漆原

こんばんわ。
これまたすばらしいビートルズ論の始まりでワクワクものです!
人生哲学を軽いと思いにわけるなんざ白眉です。
インド哲学には軽いものはない・・当然です。ウパニシャッドです。
ほとんどラリっていて無意味・・これ好きです。おそらく桑田さんも好きです。
あと、これに誰かを小ばかにした、とか誰かを批判した、っていうジャンルもちょっとありますね。
あと、もうダイレクトに直裁なメッセージ(わかりますよね・・)
とかもあるかな。
でもミルクティーさんのこの分類には主張を感じますので、無理やりにでもここへはめていってみたいですね。
by 漆原 (2005-10-19 23:13) 

parlophone

milk_teaさん、待ってました!
前後編といわず4~5回いきませんか^^。

ぼく的にはジョンのお助けワールドみたいなもんがあるんですよね~。
「I'm a Loser」なんかを含めてもいいんですが、
「There's A Place」あたりから始まって、文字通りの「Help!」、「Nowhere Man」、「I'm Only Sleeping」、「Yer Blues」と続いていく、なんか「オレ、つらいんだよね~」みたいな…。
いかがでしょうか?(笑)
by parlophone (2005-10-20 00:23) 

MASA

う〜ん、鋭い分析力ですね。さすがです。
ビートルズの初期のラブソングはやはり男目線で書かれた歌なので、ロマンチック度は低いし、女性が共感出来るようなものじゃないんでしょうね。
ま、男の私から見ても確かに自分の恋愛経験とオーバーラップするような感じはないですけども(笑)。
まあ一応ロックなんだし、あんまりジメジメしてたら軟弱なAORみたいになっちゃいますからね。
大体ビートルズの涙ちょちょ切れるラブソングなんて気持ち悪いし似合わないです(笑)。
後編楽しみにしてます!
by MASA (2005-10-20 00:25) 

幻燈遮断機

milk_teaさん、こんばんは~。
トリは歌詞の世界できましたか!
milk_teaさん節全開の予感に僕もワクワクです!
僕はビートルズを聴くとき、あまり歌詞に注目というか注聴? しないので目からウロコの企画です。
前、後編と二つに分けるとか、なにやら大変そうな感じですが頑張ってください。
 「Across The Universe」とか、ジョンの内的世界の歌詞が好きです。ベタですが。
by 幻燈遮断機 (2005-10-20 00:42) 

milk_tea

漆原さん、いらっしゃいです。ほめていただきありがとうございます。

>あと、これに誰かを小ばかにした、とか誰かを批判した、っていうジャンルも
>ちょっとありますね。

これは「特定(実在)の誰かへのメッセージ」に入れます。

>あと、もうダイレクトに直裁なメッセージ(わかりますよね・・)
>とかもあるかな。

なるほど・・。
直裁を「魂の叫び」という感じで捕えると、それはやはり「ジョンの叫び」
すなわち「落ち込んで、もがく僕」というようなくくりになってきますね。
(Parloさん案とドッキング・・・)
でも確かに、これを加えると、上記の11項目から外れるものがだいぶ
カバーできます。
I'm Only Sleeping とか I'm a Loser とか、I Want You なんかも結局
これでしょうかね。
が・・・・しかし、こうやって見てみると、後期に行くにつれ、ジョンは
落ち込んでもがいてばっかりですね。今になって改めて、彼ののた打つような
苦しみがうかがい知れます。

あ”ーー、でも本気で歌詞を分類しはじめたら、諸説あって絶対まとまらない
気がしてきた。
いい!上記の11項目のみで行きますっ!(笑)(行くってどこへ・・・)
"落ち込んでもがく僕"は、人生哲学かラジカル方面に適当に振り分けると
します。
by milk_tea (2005-10-20 02:00) 

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